緑の森に夕陽は落ちる -序-




『キラ』

 華のように笑うヒトだった。

『キラ、大好きよ』

 強引なところもあったけど、嘘は絶対につかないヒトだった。


 笑顔の裏の孤独に気づいてくれた。
 全てを知っても隣にいると言ってくれた。

 フレイ…
 守りたかった、もう会えないヒト。





 "フレイ"―――フレイ・アルスター。

 アルスター侯爵令嬢にして、オーブ国第一王子キラの婚約者。
 人目を惹く華やかな容姿と常に流行の最先端を行くそのセンスで社交界の華と呼ばれた女
 性だ。

 婚約は確かに政略によるものだった。
 けれどキラ自身は彼女を大切にしたいと思っていたし、寄り添う2人は周りが羨むほど仲
 睦まじく映っていた。







 守りたかった。

 幸せにしてあげたかった。




 でも、もう叶わない。






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ちょっと違う始め方にしてみました。
そんなわけで、ちょっと暗めに過去編スタートです。



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