実りの色は赤い果実 -01-




「そろそろステラにも旦那さん見つけないとなぁ……」

 国政もここ数年安定し、早急に片付けなくてはならない案件も特になし。
 決して暇ではないが気持ちに余裕が出てきた時、王がまず気にかかったのは末の姫君のこ
 とだった。
 彼には息子が2人と娘が1人いるが、一番可愛がっている末姫は同時に一番心配でもあっ
 たのだ。

 2年前、ザフトのアスラン王子とオーブのカガリ姫は当時16だったその年に正式に婚約
 している。
 それを考えれば姫君も年頃、そろそろ相手がいてもおかしくない年。
 …しかし 上の兄2人は放っていても自分で見つけそうだがこの姫だけはどうにも心配で。

「プラントは姫だけだから やっぱここはオーブかザフトか。」
 別に自国の貴族でも良かったが、オーブとザフトみたいな関係も良いなと思う。


「…オーブの王子って今行方不明なんじゃないの?」

 そんな王の独り言に横から口を挟んできたのは 自分の息子であるアウルだった。
 3人兄妹の真ん中で、一番頭の回転も早い。
 しかし可愛い顔のわりに口がけっこう悪かった。
「あれ? そうだったか?」
「オッサン…… 2年前の婚約発表の時、王位継承権放棄して去ったってことになってるだ
 ろうがっ」
「あー… そういやそうだったな…」

 忘れていた。
 世間一般の認識では彼は行方不明になっていたのだ。
 彼と自分は今も普通に連絡を取り合っているからすっかり失念していた。


「ま、俺としちゃ ステラが幸せになってくれたら相手は誰でも良いんだけどな。」
 別に王族じゃなくても、あの子が好きになった相手なら。
 同じことは息子達にも言える。
 自分はそれが叶わなかったから、子ども達には自由に恋愛をして欲しいのだ。
「本当は自分で見つけてくれるのが一番…」
「見つけられんの? あのぽえぽえに。」
 しみじみと言う彼に呆れた声で再びツッコミが入る。
「……うーん」
 そしてそれには思わず考え込んでしまった。
 半分しか血は繋がっていないがさすが兄。妹の性格をよく把握している。
 そう言われるとネオも自信がなかった。

「ついでにあのシスコン馬鹿もどうにかしてくれると良いんだけど。いい加減見てるだけ
 でウザい。」
 そう言って、彼はステラのままごと遊びに付き合ってデレデレしている長兄スティングを
 呆れて見やる。
 アウルは兄に対しても容赦がない。というか、この口調は彼の標準装備だ。
 これでも3人はとても仲が良いのだが、慣れなければ最初は誤解してしまう。
 もちろん父親としてその辺はきちんと把握しているネオは、彼なりに何か心配してるんだ
 と思って苦笑いするだけに留めておいた。

「ステラに相手ができれば少しは…」
「だと良いけどね。」







 それはそこだけの話で、彼の独り言のはずだった。

 けれどどこから伝わったのか。その話は諸国中にあっと言う間に広がったのだ。






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スティングは兄バカ…というか シスコンです。
てゆーか主人公は誰?(汗)



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