04. Cagalli side
「浮かない顔してるな。」
顔をじっと覗き込んで数分。
あまりに動きのない彼に、呆れたように声をかけた。
「え? あ、あぁ… すまない…」
謝りはしたものの、彼はまた考え込むように視線を落とす。
こんな顔を見るたびに胸が苦しい。
でも 欲しかったんだ
今、この時が。
「今日、アイツは…?」
話題を探そうとして彼の口から出てきたのはそれ。
数少ない2人の共通点だから。
―――否、それだけが理由じゃないのも分かってるけど。
思わず眉を顰めそうになるのを堪える。
そして心とは正反対におどけて肩を竦めた。
「ラクスとコンサートだそうだ。」
「……そうか。」
傷つくと知って言っている。
だから嘘は言わない。
「―――私相手が不満なら、髪染めてカラコン入れてやろうか?」
半分冗談のつもりで言ってみて反応を待った。
「お前はお前で十分だよ。」
やっぱり彼はそう答えて。
嘘ばっかり。
本当は"見て"いるくせに。
「代わりでも私は構わないんだぞ?」
お前が私の先に何を見ていようとも。
誰を想って憂いても。
分かっていて手に入れた。
知っていて今を望んだ。
「優しいな、お前は。…ありがとう。」
そう言って穏やかに微笑んでくれる。
「どういたしまして。」
私は笑っているアスランが好きだよ
悟らせまいと努力している優しさ、そんなところも好き
たとえその心が別の場所にあっても
己の願いと引き換えに、
私は貴方の心を失いました
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3よりさらに少し後。
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