02. Athrun side



 辛い時、傍にいて欲しい人はいなかった。

 ―――いてくれたのは、彼によく似た少女。
 双子だから顔が同じとか、そういうのではなく。
 優しさが同じだった。


「アイツの中に、俺はもう必要無いんだろうか…」

 星から漏れる光の中で。
 重なった2つの影。


 気づいていた。
 ただ認めたくなかっただけだ。
 2人が惹かれ合っていることを。

 世界が2人きりだった頃はもう遠く
 キラは外へ飛び立ってしまった

 楽園に取り残されたのは俺か



「必要とか関係ないだろ! お前等、…っ親友なんだから!」
 どうにか繋げようとしてくれたのは、彼の姉。

 真っ直ぐな瞳が、ダブって見えて。
 そんな風に見たら、彼女に失礼だと思ったけれど。


 気がついたら彼女を抱きしめていた。

「……すまない…」

 彼女は気づいている。
 俺が彼女に何を見ているのか。

「別に良いさ。」
 そう言ってぽんぽんと背中に回した腕で叩いてくれて。


「私が傍にいる。物足りないかもしれないけど、傍にいてやるから。」



 得たのは偽りの安らぎ
 失ったのは願っていた未来







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1の少し後。



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