Happy Day

※設定は日記過去ログのイザシホと同じです。




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 会場のイメージは白。
 飾られている花は彼女が1番好きな真白いバラ。
 シャンデリアが輝く広いホールでは 彼女を祝うべく集まった人々が談笑を交わしている。
 そこには見慣れた者達の姿も見え、彼らもまた穏やかな表情でパーティ前の一時を過ごしていた。




 ふと 全ての照明が落ちる。
 残るのは蝋燭に灯された淡い光だけ。
 会場内は水を打ったように静まり返り、視線は一ヶ所に集められる。
 そして、その先に柔かめのスポットライトが当てられ、1人の人物の姿が現れた。

 クセのない濃茶の髪、深い紫色の瞳の穏やかな物腰の少年。
 今は既にその顔が知られている "姫君"の傍らに立つ その人。
 いつもの着崩したスタイルではなく、しっかり着込んだ正装で微笑んで、彼はひとつお辞儀をした。
 その表情のまま手を光の外へと差し出す。
「ラクス」
 言葉を合図に細く白い手を添えて、今日の主役の姿が光の中へと引き出された。。

 長く艶やかな桃色の髪を後ろで結い上げ、そこを飾る花はやはり白。
 ドレスの色は淡い青、フレアスカートの上からは紫の透かしレースがかけられている。
 多過ぎない露出度のドレスは彼女の清楚さ、色があらわすのは水の流れ。

 その姿に皆言葉を忘れて感嘆の息を吐いた。


「―――みなさま。」
 静かなホールに、彼女の穏やかでよく通る声が響く。
「本日は私の為にお集まり頂き、ありがとうございます。」
 そうして笑顔を向ければ、拍手と祝いの言葉がどこそこから上がった。
 シャンデリアの光が再び灯され、見えてくる人々それぞれに ラクスは笑顔を返す。
 そしてキラは、"また後で"と告げて彼女の傍から離れた。





 1人壇上に残り、ラクスは感謝の意とこれからの未来についての思いを伝え。
 形式とはいえ それでも温かい祝いの言葉を貰って。
 最後に平和を願うあの歌を、みんなの前で披露した。

 少し離れた所に立つ、好きな人の優しい笑顔に見つめられながら―――





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誕生日っていつの話だよ とかのツッコミは無しでお願い致します。
時間とかネタ詰まりとかいろいろあったのですよ(泣)



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