Happy Day
--4-- 「お祝いの言葉」−バルトフェルド&マリュー編− 何とも意外な組み合わせに、キラはしばし止まった。 ラクスといえばあまり気にしていない様子で "ありがとうございます"と返しているが。 ―――アークエンジェル艦長マリュー・ラミアスと、エターナル艦長アンドリュー・バルトフェルド。 かつて砂漠で死闘を繰り広げ、後に同志となった経緯を持つ間柄ではある。 が、マリューにはフラガという恋人がいたし、バルトフェルドにもアイシャという愛人がいた。 2人の共通点は互いにその愛する人を戦争で失ったということ。 そんな2人がそういう間柄になる、というのは可笑しいことではない。 でも、あまりに意外で。 割り切るには早過ぎる気がして。 そんなキラの心情に気づいたのか、マリューがふとキラに笑みを向けた。 「誤解しないでね。私達はそんな関係じゃないわ。」 「え…?」 きょとんとしてしまったキラに、バルトフェルドも少しからかうような笑みを浮かべる。 「少年にそう映ったということは僕達の演技もなかなかのものだ。」 「互いに虫よけなのよ。2人でいればとりあえず近づいてくる男はいないもの。」 「僕もアイシャ以外にまだ興味は持てないからねぇ。」 一瞬だけ意味ありげな視線を合わせて、2人はキラへと向き直る。 「あ、そ、そうだったんですか…」 あまりに自然に見えたのは、経験故のことだったのだろうか。 恥ずかしくてキラが俯くと、隣のラクスは笑っているようだった。 「…相手がいないとあぁなるのよねぇ…」 苦笑いを浮かべてマリューが向いた先を追いかけると、たくさんの女性に囲まれ 嬉しいを通り越して 困り果てているノイマンとトノムラの姿があった。 三隻同盟軍のクルーは英雄扱いされている為、どうにかして繋がりを持ちたがるものだからだ。 その上 あの2人もそれなりに整った容姿を持つから、その倍率は高い。 「キラ君も気をつけてね。」 キラとラクスが恋人同士という間柄でないことはわりと知られていることである。 そしてフリーダムのパイロットとなれば あの2人の比ではないだろう。 ただ、そうならないのは。 「私といれば大丈夫ですわ。」 ―――ということだからである。 誰もラクス・クラインと張り合おうとは思わないだろう。 彼がラクスの"お気に入り"だということは周知のことなのだから。 「そうだったわね。」 「はいv」 その頃、当のキラは2人の会話はほとんど耳に入っておらず、あちらの物凄い勢いの光景を遠い目で 見つつ 乾いた笑いを浮かべていただけだった。 →→イザシホ編へ --------------------------------------------------------------------- 密かに狙いの大人カップルーv(え?)