Lost child −≪04≫


 必ず見つけだすよ。
 たとえお前が一面に咲く野薔薇の1輪だったとしても。
 絶対に見つけだせるよ。
 俺には分かるから。

 どんなに宇宙が果てしなくても必ず会える。
 離れていても絶対に2人は巡り会う。
 俺達は惹かれあう運命にあるのだから。
 それは誰にも邪魔できないから。

 だから……




 ―――端から見れば 俺は旅行者なのだろうか。

 この、砂漠に囲まれた国に入って早数週間。
 移動手段は己の足と好意で乗せてもらったジープのみで。
 明確な目的地もなく、ただこの国を見てまわっている。

 勝手気ままなひとり旅、と言われればそうなのかもしれない。

 けれど それは見た目だけの話で。
 俺にその旅を楽しむ余裕などというものはなかった。
 今まで見た地域の記憶などほとんど残っていない。
 そんなものは必要なかったから。

 たった1人の大切な…
 ――迷子の"彼"を捜している俺には。



 そして今日訪れたのは 国内でも2番目に大きな町。
 元から大きなオアシスで、前時代から交易の要となっていた場所だ。
 今もそれは変わっていない。

「…?」
 その街に入った途端に空気が変わった。
「祭り…?」
 大通りに溢れる人の波を目の前にして、アスランは少し離れたところで立ち止まる。
 派手な衣装、聞こえるのは明るい音楽。
 大通りの中央にはカーニバルの行列、それを見ようと人々は押し合い圧し合い。
 聞けば、今日から3日間続く 年に1度の大祭なのだという。

「参ったな…」
 たった1つの手荷物を足元に置いてため息を1つ。

 すっかり旅行生活に慣れた彼が心配したのは今夜の宿。
 これだけの人がいるのなら きっとどこも空いていないだろう。
 無論、名を使えば高級ホテルの1室を借りることなど造作無いだろうが、そういうことを今はあま
 りしたくない。
 自分も一応"失踪中"の身であるのだから。

「さて、どうしようか…」
 あいにく祭りを楽しむ気分ではない。
 キラがいなければ全て灰色の世界。
 陽気な音楽は煩いだけ、人々の笑顔は自分だけが笑えないと気に障る。

 祭りのことなど完全に頭からしめ出して、目の前の切実問題に考えを巡らした。


「次の町に行こうとしても今日中には無理だな…」
 オアシス同士の距離はそう近くなく、下手すれば砂漠の真ん中で一晩過ごすことになりかねない。
 昼夜の温度差が激しい砂漠での野宿は 今のこの格好と準備では絶対に無理だと分かっている。
 だからすぐその考えは切り捨てた。
 自分もキラに会うまで絶対に死ぬわけにはいかないのだから。



 ――――…
 ふと 顔を上げたのは、何かを考えてというわけでもなかった。
 本当になんとなく、だ。
 考えがまとまらなくて 考えるのを止めて。
 背景と化していた周りに視線を向けた。
 ほんの気分転換のつもりで。

 けれど、その先に見えた人物。
 人込みに消えそうな後ろ姿を見た途端、目の前の時が止まった。
「……っ!」
 それは ずっと探し求めていたもの。
 気が狂いそうなほど心を乱す唯一の存在。

 我知らず駆け出していた。


「キラ!」
 見間違えるはずがない。
 柔らかに風になびく茶の髪も、砂漠の町に似合わないほど白い肌も、折れそうなほど細い 華奢な
 後ろ姿も。
 たとえ人込みの中であろうと視線が吸い込まれていく。
 見えるのは独りだけ、それ以外はもう見えない。

「え―――…?」
 名を呼ばれて振り返った彼が自分を認識する前に。
 この腕の中に閉じ込めた。
 驚き 身じろぎする彼を逃がさぬよう力を込める。

「やっと見つけた…」







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管:…砂 吐いて良い?
ア:器用なヤツだな。
管:…いや、君のせいだっつの。
ア:? 意味が分からないな。

ア:ところでまだここにキラは来れないのか?
    いつまでも君と2人というのも変化がなくて単調だ。
管:悪かったわねっ 次回からはキラもいるよ。
ア:…長かった……
管:そうでもないでしょ。
ア:一日でも会えないのは千日会えない以上に苦痛だ。
管:…あー そうですか。(このキラ馬鹿さんめっ)

管:そーだ。次回からはオリキャラさんも一緒だからね。
ア:狽Q人きりじゃないのか!?
管:…ちょっと。さり気に私も省いてない?
ア:気のせいだ。
管:…あ、そ。もう良いけどね。どーでも。




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