Lost child −≪03≫
目の前に 望む人がいる。
でも、前に進めない。
まるで石になってしまったかのように 足が動いてくれない。
すぐそこに居るのに。
今すぐ抱きしめに行きたいのに。
水面に佇んでキラが微笑う。
―――アスラン。
「っキラ!」
手を伸ばしても彼まで届かない。
あと1歩、その距離が縮まらない。
―――好きだよ アスラン。
キラはただ微笑っているだけでこの手を取らない。
そして、その身体が透けていく。
―――アスラ…
「キラ!!」
俺を置いて行くな! キラっ!!
「っっ!!」
覚醒と同時に飛び起きる。
ぎし、と硬いベッドが鳴った。
「―――っ…」
乱れた呼吸と、不快にべとつく身体。
耳障りなほど大きく聞こえる心音は 未だ治まらない。
またか、と アスランは濡れた前髪をかき上げて重く息を吐いた。
キラが居なくなってから毎夜見る夢。
目の前にいる存在を捕まえることができない。
たとえ夢であろうと、それが歯痒く 悔しくてならない。
まるでキラが戻ってこないとでも言われているようで。
「バカだな…」
ポツリと自嘲気味に笑って呟く。
このくらい会わないことは今までだってよくあったはずだ。
お互いするべきことが多過ぎて 顔すら合わせない日も珍しいことじゃない。
こんなに不安になることなどなかった。
でも、ただ、どこにいるか分からないというだけで。
不安で堪らない。
「くそ…っ」
憤った思いをぶつける場所もなく。
握り締めた拳は爪が食い込み 色を失っていた。
独りになると思い出す、戦争中の出来事。
愛したお前と敵対し、殺し合おうとしたこと。
1度は失ったと互いに心を壊しかけたこと。
あんな思いはしたくないから傍にいたんだろう?
対等な立場に立ったのもその為だろう?
離れる恐怖を知っていたからだろう?
なのに、何故今お前は姿を消す?
残される俺の気持ちは考えていなかったのか?
俺がどれだけお前に依存していたか、お前は…
「―――知っているだろう?」
そして、瞳に宿るのは強い光。
窓の外、街は活気付き始めていた。
暗く重いカーテンを開ければ朝の白い光が部屋に滑り込んでくる。
「早くしないと気が狂うよ…」
その言葉を聞く者は誰もいない―――…
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管:魘されてるねぇ。
ア:誰のせいだ。
管:さぁてねv
ア:……
管:んで 君は今どこにいるわけ?
ア:キラのIDから キラがいると思われる国だ。
管:わりと近くにいるんだね。
ア:でも後は自分の足で地道に探すしかないようだ。
どうやら偽名を使っているのか"キラ"という人物がいない。
管:その名前は?
ア:それが あまり長期に滞在してはいないらしくて誰も覚えていないんだ。
聞きもしなかった人が多かったから。
管:でも予告では次回あっさり発見☆とか出てるよ。
ア:何!? キラはどこだ!?
管:おーい。どこへ行く〜??
……無駄か。(消えた姿を探す気も無い)
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