Lost child −≪02≫
何故、俺の前から姿を消した?
2人とも、プラントとオーブにはそれぞれ与えられた屋敷があった。
仮にもトップに立つ者。
多くの使用人と広大な土地を持つそこは、確かに彼らの立場からすれば相応しいものだったかも
しれない。
しかし2人はそことは別に、オーブとプラントに1つずつマンションを購入した。
もちろん普段は各々の屋敷で過ごす。
ほとんど帰れなくてもそこが彼らに与えられた家だったから。
けれど、休みができればそのマンションのどちらかの部屋で過ごし、生活の全ては自分達で行う。
そこにいるのはオーブの指導者でもプラントの最高権力者でもない。
ただ休日を共に過ごす10代の少年達。
誰にも邪魔されず、自分達を取り巻く環境から逃れて。
2人きり 自然体で過ごせる唯一の場所、それがこの部屋だった。
あの日もそう。
長めの休暇が取れたからとキラに通信を繋ごうとした。
キラも休みなら、今回はオーブの部屋で過ごそうと。そう言うつもりで。
けれど、プライベート専用の彼の端末には繋がらず。
仕方なくオーブの行政機関に直接問い合わせた。
通信士にキラと話したい旨を伝えると、彼は困ったような表情を向けて。
『キラ様なら… 数日前から休暇を取ってらっしゃいますが…?』
プラントに行かれたのではなかったのですか? と。
驚いたのはアスランの方だった。
そんな連絡は貰っていない。
自分を驚かせるにしても、キラがいなくなったのは数日前だというからそれは無い。
「いや、それなら良いんだ。」
極力不審がられないように、「ちょっとキラが迷子になってね」とおどけて言ってから通信を
切った。
それから数時間後には。
胸騒ぎを覚えたままオーブ行きのシャトルに乗り込んでいて。
そして、人気のないマンションのリビングで見つけたもの。
夕陽に染まる部屋でそっと置かれていた1枚のメモ。
別れを告げる手紙。
間違えるはずもない、それはよく知ったキラの字。
目の前が真っ暗になった。
2度と失わないと誓った。手離さないと約束した。
なのに、キラが目の前から消えた。
"ずっと一緒にいよう"と言った彼が"1人になりたい"と。
「探すな」と言う。
でもそんなことは許さない。
お前を1人になんかさせない。
―――同じ思いはもうしない。
「キラが居るから俺の世界は回っていたんだよ?」
ポツリと、残されたメモに向かって漏らす。
分かってなかったんだな?
そうしてアスランもまた、誰にも告げず姿を消した。
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管:これから探しに行くのね。
ア:俺はもっと早く行きたかったんだが?
管:あぁ、ごめん。…てかさ、どうやって探すわけ?
ア:愛の力。
管:……
ア:俺たちは惹かれ合うんだ。だからきっと見つかる。
管:…つまり、何も考えてないんだね。
ア:いや、一応考えてはいる。
管:何を?
ア:キラは別にIDを偽造してるわけじゃないから。居る国は特定できる。
管:それでも広い国だったら大変だよね…
ア:それにアレだけの容姿だ、目立たないはずはないだろう。
管:それは確かに。
ア:キラ! 絶対見つけ出すから!!
管:(キラ〜 アスランが暴走する前に帰ってきた方が良いぞ〜)
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