Lost child −≪序章≫


 戦後しばらくして。
 1人の少年が姿を消した。

 サラサラと風に舞う茶の髪と、輝くアメジストの瞳を持つその人は。
 少女めいた可愛らしい顔を苦痛で歪め涙を流しても戦った、心優しい少年だった。
 人を惹きつけてやまない、穏やかな笑みを持つ人だった。


 彼が残した手紙には

 "ごめんなさい
 しばらく1人になりたい
 だから僕を探さないで"

 幼さが残るけれど繊細な文字で書かれたそれ。
 少し震えたように見えるのは気のせいではないだろう。



「…探すな、だと? 冗談じゃない。」
 アスランは手にした手紙の端を皺が寄るほど握り締める。
 その声音には怒りさえ含まれていた。
「もう2度と離れないと言ったじゃないか。」

 2人を隔てた3年という空白。
 互いを敵対させてしまった戦争という忌まわしいもの。
 全てを乗り越えてやっと一緒に過ごせるようになった時、互いに誓ったことだった。
 今度こそずっと一緒にいよう、と。
 そう言ったのはキラの方だ。

「―――絶対に探し出すから。」
 2度と失うものか。
 やっと手に入れたのに。
「お前がどう言おうと、俺はお前から離れるつもりはないんだからな。」
 決心した瞳で、窓の外に映る夕暮れを見上げた。







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管理人(以下 管):やっぱり探しに行くんだね。
アスラン(以下 ア):当然だろう。
管:即答かい。
ア:何故また離れ離れにならなければならない?
    もう後悔はしないと決めたんだ。
管:それで、居なくなったなら探しに行け、というワケ?
ア:そうだ。見つけて文句の1つも言わないと気が済まない。
管:ほどほどにしてあげなよ…?
ア:それはキラ次第だな。



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