選んだ道の先 −≪01≫


 ―――― ストライク捕獲成功。
 その報告に ザフト軍の艦内はにわかにざわついた。

 "赤"を着たエリート部隊が何度も交戦し、苦戦を強いられた機体。
 左腕と両脚部を破壊され 今は灰色でしかないそのMSは、倒れるようにして目の前にあった。
 収容されたそれの周りには、捕獲したそのエリート部隊の他にも多くの兵達が集まっている。
 中のパイロットはどんな奴なのか。
 そこに居る全員が 不安と期待を持ってそこに居た。
 多くの仲間を殺された怒りよりも、今は期待の方が大きく。
 誰もがその姿を確かめたいと、今そのパイロットが居るであろうコクピットを凝視する。
「―――開けます。」
 緊張の糸を張った空気が周りを支配する中、外からコクピットのハッチが開けられた。


「……え。」
 ハッチを開けた兵が 中を覗いてあげた第一声はそれだった。
 ヘルメットを外し、待っていたように彼を見据えたそのパイロット。
 華奢な体躯にビスクドールのような白い肌、柔らかそうな茶の髪がさらりと顔にかかる。
 そこには一輪の花がある、そう思った。
 言葉を失ったその兵は 向けた銃を思わず下ろしたことすら気づかない。
 固まった彼を、紫色の美しい双眸が捉える。
「…何ですか?」
 姿とは裏腹に 強い調子で言葉は紡がれた。
 その声は少年特有のもので、けれど少女のように良く通る声だった。
「僕は逃げも抵抗もしませんよ。」
 堂々とした様子で、彼は口元に笑みを作る。
 そうして 呆けた彼を自ら促して外に出た。




 ストライクから降り立った彼に周りは声を失くす。
 全ての感情を通り越え、誰もが彼に惹きつけられた。
 違和感を感じずにはいられないほど不自然な 愛らしいその容姿。
 誰がこんなことを予想しただろうか。
 それは 彼を…彼のMSを捕獲したクルーゼ隊の面々も同じだった。

「女……? いや、違うか……」
 ディアッカが正直な感想をぼそりと漏らす。

「あれが…?」
 ストライクの…?
 怒り狂うかと思われたイザークも、ただそれだけしか言わなかった。

「僕らが言うのも変ですけど… ずいぶんお若い方だったんですね。」
 普通に感心したように言ったのはニコルだ。

 野次馬のように集まる兵達とは一線を引いた場所に居ながら 彼らもまた目が離せずにいた。
 それもストライクのパイロットだからではない理由で。


「――――…」
 今まで 魅せられ動けなくなった兵達を見回していた瞳が、一瞬こちらを見た気がした。
 その宝石の輝きを持つ瞳が 胸に焼き付くように印象に残る。
 強く、けれどどことなく儚げな。
 1度魅せられたら離れられない。そんな印象を受けるものだった。



「…そういえばアスランは?」
 ふと、彼から視線を外してニコルが尋ねた。
 それにハッとしたディアッカも彼から視線を逸らす。
「あぁ、アイツならクルーゼ隊長に呼ばれ―――…」

「キラ!」

 言い終わらないうちに、彼らの横を赤い風が抜けていった。
 他の何も目に入っていない様子で、彼は兵達が開けた道へと吸い込まれていく。
 それを 半分呆然としてニコルとディアッカは見送った。
 今、一体何が起きたのだろう…
 突然の出来事に頭がついていかない。

 それがアスランだということに気が付いたのは、
 彼がキラと呼んだ少年の所にたどり着いた後だった。







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管理人(以下 管):…あの後、君はずっとキラを見てたの?
イザーク(以下 イ):誰が…ッ(ホントはずっと見てましたv)
キラ(以下 キ):僕、やっぱり嫌われてるのかな…
アスラン(以下 ア):気にすることは無いよ キラ。俺はキラが好きだよv
キ:アスラン…
ア:あんなヤツは放っておいて向こうに行こう?(役得vv)
キ:うん…
イ:!!?(ショック)
管:…不器用ねぇ。
イ:貴様に言われたくはない…!



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