15話後妄想


「…カガリ」
 キラが苦笑いして、止まらない涙をハンカチで拭き取ってやる。

 先程キラの腕の中で心の箍が外れたように泣きじゃくったカガリは その後もなかなか泣き止む
 ことができなくて。
 食堂に移動した後もぽろぽろと涙を零し続けていた。


 今まで張り詰めていた気持ちが一気に崩れたからだろうか。
 止めようとしても、壊れてしまったように瞳から涙は流れて止まらない。
 もう良いだろうと自分でも思うくらい泣いたのに。
 でもキラの腕は暖かすぎて、キラの声は優しすぎて。
 今もなお振り続ける優しさに、本当に自分は壊れてしまったんじゃないかと思うくらい。

 キラもカガリの気持ちを察したからか。
 好きなだけ泣けば良いよと止めはしなかった。




「ほら、食べよう? お腹が空いてちゃ元気もでないよ。」
 2人分のトレイを並べてキラが顔を覗き込んでくる。
 けれど全然食べる気が起きなくて。首を振って拒絶した。
 今はまだ何もしたくない。

 そんなカガリの態度に 仕方ないな、と一度天を仰いで、キラは自分のスプーンを持った。


「カガリ。口あけて?」
「…? ぁ―――…ん!?」
 キラの言葉に反射的に口を開けて。
 口の中に何か放り込まれた。
「はい、噛んで。」
 隣のキラは何故かニコニコ笑っている。
 ワケも分からず言われた通りにして。
 喉を通った優しい味に またじんときた。

「美味しい?」
「………」
 こくりと頷くと、キラは良かったと さらに笑む。
「じゃあ はい、コレも。」
 さっきと同じ仕種。
 口を開けるとキラが放り込んでくれる。

 冷静になって考えれば物凄く恥ずかしいことなんだけど。
 そのときはそこまで頭が回らなくて。
 ただ、優しさに甘えていたくて。

「涙、止まったね。」
 キラの声がただただ優しく聞こえて。
 よく意味も分からず うん、とだけ頷いた。




 この時のことはあんまり覚えていないんだけど。
 人に聞けば随分キラが甲斐甲斐しく世話をしてくれたらしい。
 ずっと隣にいてくれたらしくて。
 泣いたらぎゅっと抱きしめてくれたりとか。
 本当に 全然覚えてないけど。


「さすがに私も妬けましたわ。」
 そう 笑顔でラクスに言われたときは、本気で恥ずかしかった。







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ラブラブ双子好きーvv
いや、泣かせた責任を取ってもらおうかと…



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