僕達、あの時出会わなければ良かったのかな… 出会わなければ、こんな思いしなくて済んだのかな… 君を、傷つけずに済んだのかな―――…? ―――これは、もう1つの未来。Destinyザフト軍との交戦中、キラはまた言いようのない違和感をその身に感じていた。 不快で何だか落ち着かなくて、すごく不安な。 身体の奥がザワザワする、嫌な感覚だ。 今相手にしているのは イージス。 地球軍から奪取された機体のうちの1つ。 僕が知っているのはそれだけ。 でも、本当にそれだけ―――? 刃を交える度に感じるこの感じ。 他の機体と戦っている時には感じない感覚。 これは恐怖なのだろうか? でも少し違う気がする。 だって どうしても躊躇ってしまう。 僕はこの機体を倒すことはできない。 …この人を、きっと殺せない。 この人は敵、僕はアークエンジェルを守らなくちゃいけない。 守る為には倒すしかない。 でもこの人だけはきっと…… この人は、誰―――? 『キラ!』 苦戦するキラを護るようにメビウス・ゼロが躍り出る。 「フラガ大尉!」 援護に来てくれた彼に心からほっとした。 イージス相手では不調を感じることを彼は知っているから。 早くこの場を離れたい。 ―――しかし。 赤い機体の動きが一瞬躊躇うように止まるのを見て、キラもまた思わず動きを止めた。 『キラ…?』 「……?」 呼ばれた名に訝しむ。 今呼んだのはイージスのパイロット。 声には驚きを隠せない様子が滲んでいて、それがさらに不可解だった。 『キラ・ヤマト?』 今度は知らないはずのフルネームで呟かれ、キラは目を見開く。 けれどキラが驚愕したのは それだけのせいではなかった。 この、声は… 桜散る日の記憶が蘇る。 別れ際に泣かせまいと微笑んだ 彼。 兄弟のようにずっと一緒に過ごした、優しい幼馴染。 そして、今までの違和感の正体に行き着く。 「アスラン… 君、なの?」 声が震えた。 『キラ!!』 今度こそ間違いない。アスランだ。 確信すら、得てしまった。 気づけば、グリップを握る手が震え始めていた。 どうして……!? 知らないなら討てた。 引き金を躊躇わずに引けた。 でも、もう無理だ。 だって知ってしまったから。 目の前の敵が"彼"だって。 アスランだって知ってしまった。 出会わなければ躊躇わなかった。 お互い苦しまなかった。 でも、結局は知ってしまったんだね。 そして僕らは"また"苦しむんだ。 「やっぱりダメなんだ…」 力無く呟いた声は 誰が誰に向けたものだっただろう。 変わらない運命。 彼らはそう定められたものだから。 それが2人の心を苛もうとも。 互いを呼び合うそれは変えられないもの――― --------------------------------------------------------------------- 当時はこれが続編のタイトルにつくなんて思いもしませんでした。 元ネタは種のタネの通り「Final Memory」です。 "♪今は 感じてるDestiny 〜" から。 …なんか内容は意味不明ですが、感じだけ掴んでいただければ。 冒頭文とラストのセリフは本編キラで、内容はパラレルとか。 もしくはキラが見た仮定の夢、とか。何でも良いです(オイ) 28話見てても思ったんですが、この2人って何があってもこんな運命なのかなぁと。 いずれは互いが互いだと知って苦しむ、みたいな。 それが殺した瞬間じゃなくて良かったですよね。(嫌だなぁ ソレ…) というか 絶対呼び合ってる気がするんですけど(単なる妄想)