不安




 これが最後の戦い…
 この先に訪れるものは何?
 どんな未来が待っているんだろう?

 でも願うものは1つ。
 その時、大切な人が傍に居てくれればそれで良い。


「無茶だけはするなよ?」
 念を押すようなカガリの言い方に、アスランは苦笑う。
「お前には言われたくない言葉だな。」

 お前の方が鉄砲玉みたいな性格してるくせに。
 危なっかしくて 心配で 放っておけなくて。
 俺の方が言いたい言葉だ。

「どういう意味だ それはっ」
 ムッとしても、相手は笑っているだけで。
 その余裕さがちょっと癪に障った。

 もうすぐ戦場に出るっていうのに。

 …そう、ひょっとしたらこれが最後かもしれないのに。

 そんなことは考えたくないけど。
 ふと、不安がよぎる。
 心が弱気になる。

「アスラン…」
 ぎゅっと、下を向いたままで彼の服の裾を掴んだ。
 今 泣きそうだから。
 そんな顔は見られたくなかったから。

「絶対に、戻ってこい…」

 呟くように小さい声。
 でも 彼にさえ聞こえていればそれで良い。
「もう、大切な人を失くしたくない…」
 落とす言葉は少し震えていて。
 それはさっきより力を込めた手も同じ。

 目の前で失ってしまった、大好きだったお父様。
 自分の非力さを嘆いた。
 あんな思いはもうしたくない。
 目の前のこの人を、私は失いたくない。

 今私の中で1番大切な人。
 キラに対してとは違う意味で"好き"な人。

「…分かった。」
 優しい声音で彼は応えた。
「きっと戻って来る。」

 お前のために。
 この戦いの後にあるみんなの未来のために。
 共に創っていくために。


 不意に彼女の肩を引き寄せる。
 少しだけ乱暴で 強引だったけれど。
 それは彼の不器用さからだから。

「だから、待っていてくれ。」

 耳元で囁いた言葉は、静かな空間の中で 静かに落ちていった。






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キスシーンはさすがに…
このくらいの方が2人らしいと思うんですが。
たとえすでに抱擁や片寄せ合いを済ませてたとしても!(笑)
まぁ、これは「私の中の最終決戦前」ですし。
本編と違っていてもそれはそれ。これはただの妄想です☆

何気に最後はアスランとキラが言ってること一緒なのに注目(笑)
実はこの2人 考え似てる気がしてなりません。



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