悔恨 C




 一本道の通路を抜ける前に、キラは1度立ち止まる。
 そこはさっき2人と別れた場所。

「…おまたせ。」
 2人とも、影が見えてるよ。
 
「「!!」」
 冷ややかな視線と低い声音に心臓を跳ね上がらせ、2人はそろりと中を覗き込む。
 そこには静かな怒りを燃やすキラの姿が在る――― わけではなかった。

 やけにすっきりとした表情でキラは2人に向かって笑む。
「もう終わったよ。僕の気持ちはちゃんと伝えてきたから。」

「「キラ…?」」
 重なった2人の声に キラは少し可笑しそうに笑って、

「―――ありがとう。」
 と、静かな声で言った。
「ラクス、僕らは戻ろう。カガリはアスランのこと、頼むね。」
 行ってあげて、と。
 自分が来た方を指差して キラはそう言いたげな表情を向けた。










 カガリがそこへ駆け込んだ時、アスランは窓に身体を預けて どこか呆然とした様子で虚空を
 見つめていた。
 彼女がいることにも気付かないようで、ゴツンと頭を窓に押し付け宙を見上げる。
 視界の端に青い星が見えた。


「まさか、あんな風に言われるとはな…」
 誰に言う風でもなく、ポツリと呟く。
「俺は、何を言えば良いのか分からなかったのに…」

 言いたいことはきっと同じだった。
 けれど俺はそれが言葉にならなくて。
 真っ直ぐに見つめてくるあの瞳に、何も返せなかった。

「…負けた……」
 こういう時にはいつも勝てないよな、俺は。


「でも、おめでとう。」
「…?」
 体を起こすとカガリが微笑んでいた。
 いつの間に来たのかと、その疑問を口にする前に彼女はすぐ傍まで一足飛びに来ていて。
「スッキリしただろ?」

「―――そうだな。」

 彼女達の気遣いと協力に感謝して。
 アスランもカガリに向けて 憂いのない笑みを向けた。



 あんなに一緒だったんだ。
 全ての憂いを乗り越えて、2人はもっと 強くなれる……







 END




---------------------------------------------------------------------


 キラとアスランってそう簡単に元には戻れないと思ったから。
 前のように とはいかなくても、仲良くはなって欲しいという願いを込めて。

 …書き直しました。
 読み返したらキララク・アスカガ前提のくせに微妙にアスキラちっくだったし…
 なのでCP無しに移しました。
 あくまで本編。この2人の想いは完全友情です。
 ついでに舞台設定も本編寄りにして。
 話数的なズレはありますけどそこは気にせず(死)
 どこを書き直したか分かりますか? って最初なんか全然違ってますが…
 前の小説は削除です、削除。

 トリィは2人の友情の証です。繋ぐんです。
 キラはものすっごく大切にしてるんだから、そこんとこ気付いてアスラーン。 



BACK