約束
☆勝手に最終回予想☆
平和という言葉が現実を帯びてきたこの頃。 ナチュラルとコーディネイター、2つの異なる(と思い込んでいた)種が互いに傷付け合った 醜い戦争が終わってすでに1年近い。 戦争でボロボロになった体制を立て直し、2つの種は今 共に生きる道を選んでいる。 急速ながら順調に発展へと進む世界。 そこにはもう偏見も差別という壁も存在しない。 その中心となったのは、 故シーゲル=クラインの娘、ラクス。故ウズミ=ナラ=アスハの娘、カガリ。 そして、故パトリック=ザラの息子、アスラン。 親から受け継いだ 統率者の素質を持った3人の子ども達は、互いに協力し合って 今の平和へと世界を導いた。 それから、アスランとカガリの結婚。 それはナチュラルとコーディネイターの掛け橋となる為に。 その先駆けとなるように。 けれどそれは決して義務ではない。 義務であってはいけない。 確かに2人は愛し合っているからこそ、掛け橋になろうと決めたのだ。 多忙だけれども とても平和な日々。 ずっと願っていた 平穏の時。 だけど足りない。 1つだけ 足りない。 ここにはキラが居ない。 キラだけが、この平和な時の中に居なかった。 穏やかな午後の陽射しが 白いテラスで明るく反射する。 多忙な3人にとって久々の同時の休日。 アスランとカガリの私邸にラクスは招かれ、3人は白塗りのテーブルを囲んで 紅茶を手に 談笑を交わしていた。 公式の場ではよく会うけれど、こうしてただの友人として会うのは久しぶりのこと。 特に女性2人は 自然と会話が弾む。 何気ない日常のこと、今後自分達がすべきこと。 話題は溢れるように出てくる。 けれど、話はいつの間にか "彼"のことになっていた。 「…キラは きっと、どこかで生きていますわ。」 ラクスはそう言って微笑う。 「だって、そうでしょう?」 根拠も確信も無くても、その彼女の言葉は強い。 そこが彼女の強さだ。 そうでなければ 1年も行方知れずの彼を待ってはいられない。 けれど、やはり少し無理をしているのは 分かる。 何処となくその顔には 哀しさが含まれていたから。 まだ1年、もう1年。 彼女自身、これ以上待っていられるのか 不安になる時もある。 けれど、 「俺も…そう思います。」 アスランも、彼女と同じ気持ちで少し笑って言った。 実感がわかない。 キラが死んだなんて。 いつかきっと ひょっこり現れそうで。 "久しぶりだね"なんて、こっちの心配なんか気にしないような素振りで 笑って言いそうな。 そんな、気がする。 「それに…この子を 返さなくてはなりませんもの。」 ラクスの手に乗って首を傾げる緑の鳥。 アスランが、キラにあげたロボットのトリィ。 2人が敵であった時も、キラがずっと大事にしていた 2人の友情の証。 今はラクスが"預かって"いる。 「―――アイツが死ぬはず ない。」 カガリも、強い口調で言った。 「死なないって言ったんだ、だから死ぬはずがない。」 久しぶりにゆっくり顔を合わせても、3人集まると話すのはキラのこと。 それだけ 彼が大切だった。 無事でいて欲しい。 それが3人の切なる願い。 どれだけ忙しくても一時も忘れなかった人への、それが唯一の願い。 ――― ねぇ アスラン。 最後の戦いの前、キラが言った言葉。 ――― この戦争が終わったら また、あの桜を見に行こうよ。 笑って言ったその表情が とても印象に残った。 ――― だからさ、お互い絶対生き残ろう。…みんなで、幸せになろう。 本当に変わってなかった。 月で別れたあの日から、キラは少しも変わってなかった。 ――― …そうだな。 そう答えたら、キラは本当に晴れやかな笑顔で笑った。 けれど、その約束は果たされない。 ――― ごめん アスラン… 途切れがちな映像の中で、キラは困ったように笑っていた。 ――― 一緒に還るのは無理みたいだ。 ――― キラ!? 今何処に居る!? ――― 大丈夫。遅くなるかもしれないけど… 後からきっと行くから。 何故かキラはずっと笑っていた。 「後からきっと行く」 それが絶対的な確信のように。 ―――ラクス達にも そう言っておいて… プツッ その言葉を最後に切れてしまった通信。 それから何度呼んでも返って来なかった。 結局 誰もキラを発見することはできなかった。 分かっているのは、最後 この戦争を終わらせたのは彼だということ。 今の平和は彼のおかげで在るということ。 ただ それだけ。 「1年か…」 撫ぜる風に目を閉じて アスランが呟いた。 「昨日のことのように思い出せるのに、とても、遠くに感じる…」 海に臨む高台に 3人は来ていた。 芝は風に揺れ、季節の野花が緑に色を添える。 自然のままで美しく 景色も他とは比べようも無いほどであるにもかかわらず、他に人は居ない。 そこには1つの墓碑が立っている。 遺体の無い墓碑。 3人の他にも真実を知る者達は 機会があれば立ち寄る場所。 絶えない花はその誰かが置いていったものだ。 それだけ彼は愛されている。 そして、ここに来る度みな願う。彼がいつか戻ってくることを。 誰もこれを墓碑とは思わない。 これは彼がここへ戻ってくることを願う為にあるもの、彼の無事を祈る為にあるもの。 「昨日 誰かいらしたみたいですわね。」 そう言って、ラクスはその花束の隣に持ってきた花束を並べて置く。 「…嬉しいことだな。」 カガリがフフッと笑った。 まだキラのことを覚えている人はいる。 まだ 彼の無事を願う人がいる。 それはとても嬉しいことだ。 「これだけ皆様待ってらっしゃるのに どこで何をしてるんでしょうね。」 ラクスの少々怒ったような言葉に アスランもクスッと笑った。 「本当に。」 連絡の1つもよこさないで。 無事なら一言くらい 誰か1人にでも伝えればいいものを。 ! 突然トリィが何かに気づいたように 振り返り飛び立つ。 「トリィ?」 ラクスの呼びかけにも応えず、トリィは高く 空の中へ飛んでいく。 「ラクス、どうかしたんですか?」 「? あ、トリィが飛んでっちゃったのか。」 アスランとカガリも気づいて振り返り、トリィの軌跡を目で追った。 「どうしたんだろう?」 不思議そうに 3人は眩しさに目を細めながら空を見上げる。 けれど 当のトリィに迷った様子はなかった。 1度旋回するとすぐに切る風の方向を変え、少しずつ高度を下げ始める。 それは生い茂る1本の巨木の下へ。 そして、 手馴れたように差し出された指に、羽ばたきながらスッと降りたのだ。 それと共に 木の陰からその姿が現れる。 「!」 最初に気づいたのはラクスだった。 「……!」 手で口元を押さえて、声にならない声で彼の名を呟く。 「そんな…」 「まさか……」 アスランもカガリも あまりの驚きにそれ以上の言葉を失くして固まってしまった。 信じられないことが、今 目の前で起こっている。 それは今まで願っていたことだったけれど。 彼はこちらへと、ゆっくりとした足取りで歩いてくる。 1歩1歩、しっかりとした様子で。 トリィを肩に移動させて、彼はにっこりと笑う。 「ただいま。」 「―――……っ」 次の瞬間、ラクスはもう駆け出していた。 「お帰りなさい ―――キラ!」 END --------------------------------------------------------------------- こんな感じ希望。 この後キラがカガリにぶん殴られたりしたら完璧。 「心配したんだぞ! バカ!!」とか言って欲しいです。 まぁ それはさておき。 ありがちだけども こんな展開もアリじゃないですか? 最後キラの表情は見えないんですよ! 笑みも口元まででサ! なんかカッコ良くない!?(ドリー夢) ちゅーわけで、この4人には確実に生きていて欲しい。 だって 戦争終結後にやることいっぱいあるもの。 みんなお偉いさんのお子様達だし? これくらいやって当然でしょう。 …ってか親父さんたち 勝手に全員死亡させてるよ……(苦笑) これからは4人でやってくのですvv ってーかナチュラル1人じゃん。とかツッコミ入れてみたり。 バランス悪… ちなみに最初の分担はナチュ代表カガリ、コーディ代表ラクス、そして全ての統括がアスラン。 16、7歳の子どもが先頭に立つ世界って一体… とかいうツッコミは無しの方向でv 親が親ですから。リリーナ様も頑張ってらっしゃいましたし 3人も居れば大丈夫でしょう。