Be left
〜今更何を言っても…〜
泣いてる… 誰かが 泣いている声がする… ―――― ごめん アスラン… ごめん…… キラ? どうして泣いているんだ? どうして、謝る? ―――― ごめん、ごめんね… だから どうして? ―――― 僕のせいで君を苦しめてる。僕があの時、君の手を取らなかったから… キラ、それは… ―――― ごめんね アスラン。君に僕を… ―――殺させて。 「!!」 ハッと目を覚まし、固まった表情のままで宙を見回す。 高鳴る動悸を抑える為には しばらく時間が必要だった。 「バカな… 夢だな。」 ゆっくりと起き上がると膝を抱え、乱れた髪をクシャッと掴む。 「キラは俺が"殺した"んだ。あれは 俺の意思だったんだ…」 "殺させた"なんて… 俺はまだ逃げ道を探しているのか? まだ 心のどこかで認めていないのか? 「こんな取り返しのつかないことをしておいて… 何を今更。」 自嘲の笑みを浮かべて、嫌気がさすほど自分本位な夢を笑い飛ばす。 本当は殺す気なんて無かった、 そう言って 誰が信じる? ニコルを殺されたことで我を失っていた、 それは言い訳にもならない。 俺はキラを殺したんだ。 それが真実。 俺がこの手で… キラを殺したんだ… 「どうしてあの時 俺も一緒に死ねなかったんだろうな…」 逃げる必要は無かったはずなのに。 お前と共に逝けるなら… 何も思い残すことは無かったのに… もし共に逝けたとしたら… そこはどんなに良い場所なんだろうか。 ニコルがいて、 ラスティもミゲルもいて。 そして お前がいて… そこでなら、お前ともやり直せたかもしれないのにな。キラ… --------------------------------------------------------------------- こちらはアスラン視点です。 「No return」とは対だけれど こちらは物語調になりました。 こちらも同じく暗めでダーク… 「殺させて」… これはけっこう怖い言葉ですよね。 自分で書いててちょっと思ってしまいました… でも キラがそう言ったから私は素直に…… 30話で、アスランが自爆装置を起動して「脱出した」ことに関しては アスキラ(というかキラ好き)として結構ショックでした。 アスラン嫌いになりかけました。マジで。 でもそれは"種割れ状態だったから"、と自己完結。 正気でやるわけは無いと信じてます。 31話のセリフ&涙のおかげでかなり救われました。 だからこのSSが出来上がったんですけどね。