雨の休日 −アスカガ編


「暇だ…」
 力なくぽつりと、金の髪の少女が呟いた。

 ベッドに寝転がってぼけっと窓の外を見る。
 音を立てて降る雨は止む気配もなくて。
 雲はどんよりと暗く重い。
 こんな天気じゃ外に出ることもできない。
 でも家にいてもやることもない。
 どうしようもなくて、退屈な時間だけが過ぎていく。

 いつもは相手をしてくれる自分の片割れは、休日にもかかわらず仕事に行ってしまったし。
 もちろん、それは今1番会いたい人も同じ。
 こんなことがなければ本当は4人で出かけるはずだったのに。
 謝ってくれたけど、それで急に空いた時間がどうにかなるはずもないし。
 このまま寝て過ごそうかと思った。


 ♪♪♪〜
 不意にメールの着信音が鳴る。
 のそのそと手を伸ばしてのぞき込んで…

 プッ

 思わず吹き出した。
「素っ気無さ過ぎ…っ」
 たった一言だけしか書いてないメール。
 それはいつものことなんだけど。
 こういうこと苦手なのもよく知ってるし。
「アイツらしいけど… 意味分かんないってコレ。」

 "元気?"って…

 何をどうしたらこれだけになるんだか。
 でもきっと、考えて、考えすぎてこうなっちゃったんだろうな。
 アイツ、限りなく不器用だから。

 でも…


「――苦手なわりには…上出来、かな。」
 クスクス笑いながら送信ボタンを押した。

 "うん。元気出た。"

 返事もこれだけ。
 でもそれで十分だと思う。

「掃除でもするかっ」
 なんだかやる気が出てきて、立ち上がるとうーんと思い切り背伸びした。







---------------------------------------------------------------------







BACK