【怪我をした心へ包帯を】(シンルナ)


 知っている 気づいている
 貴方の気持ちに、消えない哀しみに

 貴方のために私ができること
 それは多くはないけれどゼロじゃない



 展望室で宙を眺めるシンの隣に座る。
「何見てるの?」
「…別に。」
 素っ気無く答えたシンの視線はまた宙へ。

 その態度がムカついたから、むに とその頬を引っ張った。
「可愛くない。」
「いたたた! 何すんだよッルナ!!」
 抗議の声を上げるシンの、その赤くなった頬にキスをする。
 すると途端に真っ赤になって黙った。
「このくらいで赤くなってんじゃないわよ。ほんっと純情少年なんだから。」
「う、うるせー!」

 これでこそシンだ。
 内心ホッとしたことにきっと彼は気づかない。



 シンには守るものが必要だった。だから私を選んだ。
 守れなかった家族と、あの少女の代わりに。

 知ってるのよ。
 だけど、だからこそ私は貴方を守りたいと思った。
 貴方の中の深い哀しみを癒してあげたいって思ったの。


 貴方の怪我した心へ包帯を
 私が貴方にできること

 だから、今はただ傍にいてあげる―――








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微妙にルナマリアの片想いっぽいけど。

Date:2011/2/17(Thu) 



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