【必要ならばやさしい嘘を】(アスカガ)


「俺もプラントに?」
 代表首長の執務室に呼び出されたアスランは、彼女からプラントに行けとの命を受けた。

「ああ。私の代理としてな。」
「どうして俺なんだ?」
 今のアスランは代理に立てるだけのそれなりの地位にいるが、何故自分なのかが分からな
 い。
 他にも適任がいそうなのだが。
「キラはラクスのためにプラントを選んだろ? それで他にプラントと交渉できる者がいな
 くなったんだ。」

 交渉相手はラクス達だからそこまで気負うこともないと言われて。
 確かに彼女達ならキラの次は自分だろうと思って納得した。


「ま、あっちが良いと思ったなら、そのまま留まっても構わないが。」
 それと同時に軽い調子で言われたその言葉に眉を寄せる。
 どことなく突き放された感じがしたからだ。
「それは俺が選べるのか?」
「キラもシンも自分で居場所を選んだ。お前だけが選べないはずがないだろ。」

 …プラントに行かせる理由は本当に交渉のためなのか。
 そう思って彼女を見る。
 すると彼女は苦笑いをこちらに向けた。

「お前は自由だ。お前を縛るものは何もない。」
「…カガリは?」
 君が望むなら、君だけは俺を縛れる。
 けれど彼女は首を横に振った。
「――――2年前とは違う。私は1人じゃないから大丈夫だ。」


 嘘だ。すぐに分かった。

 俺を縛らないための、それは彼女の優しい嘘


「俺が選んで良いのなら―――」

 君の傍だと、言葉にしたら彼女はなんと応えるだろうか。








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意外にネタが出てこなかったアスカガ。
スペエディラストでアスランだけオーブ服だったので。

Date:2011/3/6(Sun) 



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