聖母 −独白−


 父親はたぶん…俺、なんだろう。

 それは予想ではなくほとんど確信に近い。
 それはアスランだから持てるものだ。

 成長するにつれ 俺に似ていく彼を、キラはどんな思いで見ているのか。

 自分でも驚くくらい似ている容姿。
 性格はあそこまで社交的ではなかったが、幼い頃の自分を知る人が見ればまず血の繋がりを疑
 うだろう。
 もし母やキラの両親が生きていたなら苦笑いでもされそうだ。
 …いや、母なら喜んで「よくやったわ!」なんて言うかもしれないが。


 ―――だが、父親は俺であって俺ではない。
 キラが好きなのは昔も今も"月にいた頃の"俺で、変わってしまった今の俺をアイツは受け入れ
 ないから。
 どちらも同じ俺なのに、俺は"俺"に敵わない。

 キラは優しいから放っておけないだけで、俺はそんなキラの優しさに付け込んでいるだけで。

 キラが俺に告げないのはだからだろう。
 父親として認めていないから。

 だから、

「アカツキのあれは嬉しかったかな…」
 アスランが父親だったら良いと、泣きそうになりながら訴えてきた子ども。
 それはあの子が認めてくれていたということで。
 純粋な子どもの言葉は純粋に嬉しく思えた。

 今はそれで良いかと、思えるくらいには。







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この似た者夫婦が!!(結婚してないけど)
と、自分でツッコミ入れたくなりました。




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