大事なもの
※アスカガ07とリンクした話。
「僕もさ、けっこう妬いてるよ。」
何気なく言われた言葉に、アスランはきょとんとして隣に座るキラを見る。
「何に?」
「君とラクス。」
「は? それこそ何故に、と言いたいな。」
ラクスがキラに絶対の信頼を置いているのは目に見えて明らかであるし。
それを見て寂しさを覚えたのもそう昔のことではない。
それで何故、俺がキラに妬かれるのか。
「だってラクスはいつも大事に持ってるじゃないか。」
ちょっと拗ねたように、軽く睨んで答えられた。
「え?」
何を、と 意味が分からずアスランは首を傾げる。
「ハロ」
「ああ。ハロね。」
思い当たって納得する。
あまりにそれが当たり前の光景だったからすっかり忘れていた。
婚約して次に会った時に贈った、――自分で言うのもアレだが――騒がしい球体。
婚約者でも、恋人と呼ぶには遠い関係だった頃の思い出。
きっと今の方が彼女と近しいと思えるほど。
幼く、淡過ぎた関係だった。
「それはつまり、アスランのことも大切にしてたってことでしょ?」
「へ?」
「まさか気づいてなかったの?」
呆けてしまったアスランに、彼は心底呆れたと言わんばかりの溜め息をついた。
「贈られたものを大切にするってことはさ、贈った相手が大切だったって意味じゃないか。」
鈍すぎるよ、君。
半眼でびしりと指摘するキラに、答えることができなかった。
キラから告げられたことは本当に目から鱗のことで。
今までそんな考えに至ったことはなかったから。
驚きで言葉を失っていた。
「ま、気づいてたらアスランとラクスはとっくに本当の恋人になってたね。」
クスリと笑って、キラは肩を竦めた。
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キララクというかアスラクというか。
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