何気ない日に
「―――そういえば。」
不意に何かを思い出したらしく、キラが隣に座るラクスの方を見て。
そして唐突に微笑んだ。
それはもう 誰もが見惚れるほどの最高の笑みで。
「キラ?」
けれど当然彼女にはその意味が分からない。
首を傾げて彼を見返す。
すると彼はますます笑みを深めて。
「ラクス、好きだよv」
そのままの表情でさらりと言った。
しんと静まり返った場において、ただ言われた本人はキョトンとして。
「急にどうしましたの?」
いつもと同じような雰囲気で聞き返す。
「ん? 言ったことなかったなーって。」
言った本人もけろっとしていて。
だからって何故今この状況で!?
と、周りの意見は一致しているが言葉に出せない。
それでも本人達はいたっていつも通り。
「そうでしたか。」
「うん。だから好きだよって。」
「私も好きですわvv」
互いに見つめ合ってにこにこと言葉を交わしている。
周りに花でも飛び交っていそうなほわほわした空気は、少しずつ周りの世界を遮断しだしている
ようだった。
「…端から見ればけっこうな光景なんだよな、これ。」
反対側に座っていたディアッカが、コーヒーのカップを置きつつ呟く。
それは呆れとも感心ともつかない微妙な様子で。
「一応告白だものね。」
その隣のミリアリアもどことなくボケッとしたように返した。
「なのにどうしてこんなにあっさりしてるんだ?」
「さあ? 2人だから、かしら?」
「普通カフェの真ん中でやるものじゃないよな。」
「しかも私達が見てる前ね。」
冷めた様子のこちらのカップルは、目の前で行われている極甘の様子を眺めながら、互いを見ずに
やり取りする。
「…で。アスラン。」
ふと顔を上げて、水を取って戻ってきた彼をディアッカが見上げた。
突っ立って座りもしない彼の視線も2人の方を向いている。
呼ばれてやっと我に返って、けれどこちらを振り返っても、それはどこかぎこちなく。
理由は見たままで、ディアッカが言いたいのも同じことだけれど。
「―――何でお前が赤くなるんだ?」
「あ、いや…」
それ以上言葉は出なかった。
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ラブモード少年少女組 オチ担当アスラン・ザラ(笑)
そして実は戦後設定。
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