君が好きな人は?
『キラ!!』
「……?」
後ろから投げられた何人もの切羽詰った声に、呼ばれたキラは疑問符を浮かべながら振り返った。
「な―――― ……何!?」
振り返った途端、詰め寄るように迫ってきた面々。
思わずキラは逃げ腰になる。
「ど、どうしたの みんな…!?」
全員揃っての 何だか鬼気迫る雰囲気に、キラはびくつくが彼らはそれどころではないらしい。
アスラン、ラクス、イザークに。サイやフレイ、フラガまで。
奥にはディアッカとマリューがいるが、この2人は加わる気が無いようで 遠くで見守っているのみ。
何事かと視線を送っても流されるだけで、助けてはくれないようだ。
「……何事なの?」
仕方なく自分で聞いてみる。
本当は聞きたくない気もするけれど。聞かなきゃたぶん終わらないし逃げられない。
「キラは誰が好きなんだ!?」
1番前にいたアスランが、全員の言葉を代表してそれに答えた。
……好、き………?
「……はぃ?」
突然何を言われたのかと、キラは思いっきり変な顔をする。
なんか今、変な言葉が出てきた気がするんだけど。
「だから。キラが1番好きな人って誰?」
聞き間違いじゃなかったらしい。
いくつもの真剣な眼差しで見つめられて ものすごく居心地が悪い。
「好きな人って…」
絶対答えなきゃいけないようで。
なんか皆期待してるようで。
…はっきり言って怖いんだけど。
好きな人、かぁ…
「……カガリ?」
考え込む仕種で、小首を傾げてポツリと出た答え。
その瞬間空気がぴしりと固まった気がするが、キラには訳が分からない。
「…?」
「何か呼んだか?」
「カガリ。」
ちょうど通りかかったらしいカガリが キラの後ろから声をかけてきた。
「こんな所で皆で何かしてんのか?」
首だけ振り向いたキラに向かって問いかけると、キラは大したことじゃないんだけど と付け加えて。
「なんか僕の1番好きな人を聞いてきたから。だからカガリって言ったんだけど。」
視線を戻すといまだ皆で固まったまま。
カガリも同じ風に見て、同じくその反応の意味が分からないと首を傾げた。
「というかお前、私が1番だったのか?」
「うん。だって普通そうじゃない?」
カガリの何気ない質問に、キラも事も無げに答える。
「まぁ 私もお前が1番好きだけどな。」
互いに明るく笑って告白のやり取りなんてしている。
周りはいまだ現実に戻ってこれないようだった。
「哀れな…」
ディアッカの同情の言葉に、マリューは呆れた息ひとつ。
「というか キラ君、アレ 意味はき違えてるでしょう。」
「カガリ嬢もね。」
2人の"好き"は家族愛の"好き"で。
そこに恋愛感情は一切入っていない。
双子なんだから当たり前だ。
「それに気づかないあいつらってどうよ。」
「自分が選ばれなかったのがよほどショックだったんでしょうね。」
今度は2人で溜め息を零す。
「…放っときましょうか。」
「賛成」
キラとカガリは2人で何処かへ行ってしまい。
マリューとディアッカも同意してその場を去った。
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ウチのキラはシスコンです(断言)
そして キラ←多数という食物連鎖 恋愛相関図の頂点に立つキラが好きなのは誰か。
ただソレが書きたかっただけ。そんで「カガリ?」って言わせたかっただけ。
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