クリスマス


 学園のクリスマスパーティにて。
 ちなみにみんな正装です☆



 ・キララク・

 バルコニーで空を見上げれば満天の星。
 吐く息は白いけれど、その分星の瞬きは美しく感じられて。
 クリスマスに降る雪もステキだけれど、星空もよく似合うと思う。


「…風邪ひくよ?」
 後ろから不意に声がして。
 ふわりと、真白いショールが彼女の肩にかかる。
 驚いて振り向くと 彼が微笑んでいた。
「メリークリスマス、ラクス。」
「キラ… これ、は?」
「僕からのプレゼント。」
 それは冷たくなっていた肩に心地良い温かさを運んでくれて。
 同じくらい、心も温かくなる。

「…雪みたいですわね。」
「そうだね。」
「大事にします。」
「うん。」

 そうして、寒いから中へ入ろうと彼はラクスを促す。
 けれど彼女はにこりと笑って彼を止めて。

「私からも。メリークリスマス―――」

 言葉の最後は耳元で消える。
 頬に触れた柔かい感触の後、目の前で彼女は頬を僅かに赤らめて笑っていた。
「戻りましょう?」
「え、う、うん… そう しよう、か。」
 遅れて赤くなっていたキラは その言葉で我に返ったけれど。
 返した言葉は少しだけ間が抜けていて。


 腕を組んでホールへと戻りながら、中の曲へと耳を向ける。
 まだダンスは続いているらしい。
「…1曲踊る?」
「はい!」
 返ってきた答えにクスリと笑って、2人は手を ダンスのそれへと変えた。






 ・アスカガ・

 芝を踏む音は2人分。
 前を行く彼女がふと立ち止まって空を仰いだ。


「雪、降らなかったな。」
「…良いんじゃないか? これだけ星がキレイなら。」
 特に何も考えず 素直に返した応え。
 振り向いた彼女は満足そうに微笑んでいた。
「ま、アスランと一緒ならどんな天気でも嬉しいけどな。」
 素で嬉しいことを言ってくれる恋人に微笑み返して。
 用意していた小箱を彼女の手に乗せる。
「?」
「メリークリスマス。」
 開けてみて、と促すと 彼女はありがとうと言って赤いリボンを解く。

 そして、中から現れたのは ガラスケースに入った小さなツリー。

「うわー 可愛い…」
「これにはちょっとした機能が付いてるんだ。」
 銀の台座に付いたボタンを押すと、ツリーがライトアップされる。
 それだけでも驚いたのに、同時にキラキラと雪のような輝きがケースの中に降り注いだ。
「これ、アスランが?」
「…カガリが喜ぶかな、と思って。」
「うん。やっぱりお前って器用だなー」


 しばらく魅入っていたカガリが 何かを思い出したようにふと顔を上げる。
「―――そういえば私は言ってなかったな。」
 そうして向けられたのは満面の笑み。
 顔が赤いのは気のせいじゃない。

「メリークリスマス アスラン!」

 それで思わず抱きしめてしまったのも、腕の中でわたわた慌てている彼女も、それに謝ってし
 まった自分も。
 予想通りで少し笑った。







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なんだかんだで重宝してる 学園設定…
本編の連載開始ついでに 少しだけ書き直しました。



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