続・成績表


「…今回も1番か キラ・ヤマト。」
 いつもの細長い紙を渡されながら 担任に呆れ混じりに言われた。
「普段からこのくらい実力を出していれば 彼と良いライバルになれたんじゃないか?」
 勿体無いことを、そう言外に言われた気がした。

 "彼"… 少し前にプラントに行ってしまった彼。
 いつも1番だった、もう今はここにいない僕の親友。

 でも僕は君と争いたいわけじゃなかったから。
 別にライバルを望んだわけじゃない。
 それはきっと彼も同じ。

「僕は別に1番が欲しいわけじゃないんです。」
 そう、アスランの代わりになろうと思ったわけじゃない。
 1番が取りたかったわけでもない。
 今でも順位なんてものに興味はないから。

「ただ、アスランがいなくなって… 彼は心配性だから。心配かけないように苦手なものを克服
 しようと思っただけです。」
 そう言ってキラは少し寂しそうに微笑った。

 まずはマイクロユニット、トリィのメンテの為に必死で覚えた。
 他も全部。
 嫌いだなんてもう言わない。
 苦手だからって逃げたりしない。
 君に心配かけたくないから。

「それでトップか…」
 手を抜いて、伸ばされなかった才能が悔やまれるな。
 そんなことを言われて。
 確かにそれはそうかもしれないけれど。
「トップとか 順位とか… そんなこと関係ないんです。」
 やっぱり僕には無縁のものだ。
 それだけ言ってキラは席へと戻っていった。


 僕はただ心配性な君を安心させたいだけ。

 1人で何でもできるよ、君に頼らなくても大丈夫だよ、
 だから 安心して。


 届かない声は風に消されて―――…







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