20話より妄想
公園に響く、たくさんの笑い声。
誰かが持ってきたカメラに みんなはしゃいで公園内を走り回っていた。
男の子も女の子も、様々入り混じるのでその人数はすでに把握できない。
「次は僕ら 撮って〜!」
その中にはキラも居て。
けれど、アスランは独り 座って本を読んでいた。
キラに誘われてついて来たものの、どことなくあの輪には入れなくて。
だからキラの笑い声が聞こえるたびに顔を上げるくらいで、あとは来る途中で買った本に視線を
落としているだけ。
「あ……」
ふと見た時にそれに気づいたキラは、少し考えると一直線にアスランの所へ走っていった。
「アスラン!」
「うわっ!」
急に飛びつかれて落ちそうになった本を慌てて受け止める。
「あっぶないな〜」
そうアスランが言うけれど キラはあまり気にしていない様子。
「何やってんの。遊ぼうよ。」
「え、良いよ、俺は…」
だからキラだけ遊んでおいでよ。
キラみたいにすぐには 俺は人の輪には入れないから。
「そんなつっまんないこと言わない。」
せっかく公園まで来て本読んでるなんて変だよ。
「あ、そうだ。」
そう言って キラは先でカメラを持つ子に手を振る。
「おーい! こっちも撮ってよ〜!!」
「え、ちょっと待って キラ!?」
言っても もう相手はこっちに来ている。
驚くアスランと無理矢理肩を組んでキラはそっちにまた手を振った。
「ほら、アスランも!」
カメラに向かってキラは笑う。
「早く早く!」
「え――!?」
言ってキラを向いた所で写真は撮られてしまったけど。
「はい、アスラン。この前の写真。」
後日焼き増しされたものをキラに貰った。
見た時ちょっと恥ずかしかったのを覚えている。
写真はあまり好きじゃなかった。
でも この時は楽しそうに笑っていたから。
懐かしい思い出。
あの頃の自分は確かに笑っていた。
これを捨てられず持っているのは、それがまだ色褪せていないから。
まだ、何かを期待しているのかもしれない…
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