赤とアスラン


 赤は嫌い

 血の色をした あの色が一番嫌いだ


 だってあの色は、2度もアスランを連れて行ってしまったから

 辛い辛い戦争の火の中へ、彼を連れ去ってしまうから

 だから僕は、あの赤い服が大嫌い



 アスランの部屋のクローゼットの一番奥

 あそこにダークレッドの軍服が置いてあるのを知っている

 僕の為に 見えないように隠してあるのを知っている


 アスランは赤い服を着なくなった

 赤い色を選ばなくなった

 それも全部僕の為、僕が嫌いだと言ったから





 彼はとても優しい人

 そんな優しいアスランが好き

 でも、その優しさは 時に悲しい


 優しい優しいあの人が 戦争に巻き込まれるのが悲しい

 彼が僕に望むように、僕も彼には穏やかに過ごして欲しいのに





 赤は嫌い

 赤い色、血の色、アスランを染めた色

 ここへ帰ってきたアスランを、遠い所へ連れて行くかもしれなかった色


 心臓が凍るかと思った

 彼を失うかもしれないと思うと怖かった


 白い包帯を赤く染めた光景が忘れられない

「キラ」と呼ぶ声すら 今にも消えそうで怖かった

 彼を殺すかもしれないその色が、とても、とても怖くて…





 赤い色は嫌い

 血の色は怖い


 あの色は 僕と彼を引き離してしまうものだから







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戦後キラの独白。



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