君がいない
レースのカーテン越しに眩い光が寝室に入り込んでくる。
それにキラは僅かに眉を顰めてから、そっと 目をあけた。
ぼんやりとした視界に飛び込むのは眩むほどの白。
まだ、少し頭が起きていない。
"おはよう キラ"
クスクスと笑い声が聞こえそうな 優しい声がする。
でも、いつまで待ってもおはようのキスは降ってこない。
「……」
身を起こしても、そこには誰もいなくて。
眠い目を擦りながら スリッパを引き摺るようにしてリビングに辿り着く。
しんとして冷えきったそこに人の気配はない。
"先に顔洗っておいで"
キッチンから声がして、ふり返っても。
火が点らないやかんが見えるだけ。
"今日はどこか2人で行こうか"
ソファに寛いで、振り返り微笑う彼が。
目を合わせようとした途端に掻き消える。
"早くしないと遅れるぞ?"
"また遅くまで起きてただろ"
"寝癖、付いてる"
何気ない言葉が
ありふれた言葉が
あの声で
"キラ―――…"
「〜〜〜止めろっ!!」
それ以上耐えられなくて、
思わず叫んでいた。
耳を塞ぎ、ぎゅっと目を閉じて。
へたりとその場に座り込む。
「止めてよ……っ」
アスランの声が溢れている。
どこにいても彼の声が聞こえる。
彼の匂いはとうに消えたはずなのに。
残ってる。
声が。
"愛してる キラ"
涙を止めてくれる君はここにいないのに
僕を抱きしめてくれる腕はここにはないのに
声はこんなに溢れてる
「僕も、君が好き…」
涙が止まらない。
止めてくれるはずの君がいないから。
「アスラン…っ」
やっと、一緒にいられると思ったのに
絶対離れないと誓ったのに
「どうして君はここにいないの…!?」
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LCの逆ver.?
こーゆーのは漫画の方が表現できそうだなぁとか思ったり。
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