ボツネタ駄文1


「アスラン」
 そう言って、彼が楽しそうに腕を回してくる。
 クスクスと笑って いかにも甘えて見せるように。
 部屋には2人きりだ。他には誰もいない。
「ねぇアスラン、こっち向いてよ。」
「……」
 それを不機嫌な様子も隠さず無視する。

「せっかくこっちが誘ってんのに無視?」
 機嫌を損ねたというより、面白そうだと言わんばかりに。
「僕から誘うなんてそうないよ? 後で後悔しない?」

「―――だが、お前は"キラ"じゃないだろう?」
 その言葉に、ピタリと相手の動きが止まった。
 そして スッと腕が身体から離される。

「…なんだ。」
 さっきまでの機嫌の良さは何処へやら。
 興味を殺がれたとでも言うように乱暴に髪をかきあげた。
「身体目当てってワケじゃないんだ。」

 顔を上げ、振り向いて相手を睨み据える。
 その姿はまさに"キラ"そのもの。
 だが、その表情は普段のキラとは似ても似つかない。
「見縊るな。」
「おや、怖い怖い。」

「…何が目的だ?」
 キラの身体を使って。何をしようとしている。
「別に。"彼"が身体を放棄したからオレが貰ってやっただけさ。」
「な、に…?」
「本人が要らないって言ったんだ。不都合は無いだろ?」

 何を言ってるんだ コイツは。
 キラが、なんだって…?

「要らないとはどういうことだ!? キラは"何処"にいる!?」
 気が付いた時には彼の襟首を掴んでいた。
 多少苦しそうにはしていても、人を馬鹿にしたような笑みは消えない。
「意識の奥深くで眠ってるよ。ちょっと突付いただけで脆い奴だよね。」
「っ!!」
 殴ってやろうとして、直前で拳が止まる。
 何があってもこれはキラの身体だ。俺が傷つけられるわけがない。
「キラを返せ!」
「イヤだね。この身体はオレのものだ。返してなんかやらない。」

 キラの顔で、キラの声で、なのに全く知らない表情で、彼はそう言った。







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続きません。



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