書いていたらアスキラに変わってしまった駄文


 部屋の扉が開くと同時にトリィが飛んできて肩に止まる。
 アスランが撫でるような仕種をすると、こちらを見て首を傾げ "トリィ"と鳴いた。

 3年前自分が作ったそのままに、少しも変わらないこの機械鳥。
 よほど大切にされていたんだなと思うと、くすぐったい嬉しさがこみ上げてくる。
 トリィがここにいるならキラは戻っていたのかと視線をめぐらせ、目に入った途端に苦笑いが
 漏れた。

「よくその状態で寝れるな」
 ディスプレイの電源は付いたまま、左手はキーボードに乗せたままで。
 座った状態で頬杖をついて キラは目を閉じていた。
 たまにこくりと頭を揺らしているのだから眠っているのは明白だ。
 足元には数枚の紙が落ちている。
 アスランは何も言わずそれらの書類を拾い上げ、まとめて脇に置いた。
 ディスプレイの電源も落とすと、キラの肩を軽く揺する。
「キラ、寝るならベッドで寝ろ。」
「んー…」
 アスランの問いかけに一応の返事を返すものの、それから動く気配はない。
 完全に夢の世界だ。
 こうなると何をやっても目が覚めないだろう。

「ったく…」
 息を1つ吐いて、キラを抱え上げる。
 そして難なく彼のベッドまで連れて行ってそっと寝かせた。
 と一緒に、室内を好きに飛んでいたトリィが枕元に降り、アスランもベッドに腰を下ろす。

「無茶はするなと言ったはずだろう?」
 前髪を梳いてやりながら彼の寝顔を見下ろして。
 それは呆れを含みつつ、けれどとても優しげな声。

 昔はもっと我儘ですぐ頼ってきたくせに。
 今は何も言わない、求めない。
 そんなキラに最近は少し寂しさを覚えている。
 どんなに昔と今は違うと言っても。
 俺は俺であるし、キラはキラ。それは変わらないのだから。

「もっと頼って良いんだ。」

 だから 1人で抱え込むな。
 隣にいつも俺がいるから。
 全部お前が背負う必要は無いんだ。

「お前は1人じゃない。」
 まだ眠る彼に言って。

 唇に、触れるだけのキスを落とした。







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不完全燃焼。よって次回でリベンジ。



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