act.2--アスラン


 今回もまた流されてしまったか…

 1人残されたアスランはキラが去った扉を見ながら苦笑う。


 1度も冗談だと言った覚えはない。
 何故なら これは本気だから。
 伝えた言葉はどれも真実だから。

 ―――キラが好きなんだ。
 他の誰も目に入らないほど。
 友達の域なんかとっくに越えている。

 本来は「親友」と呼ばれる資格すらない。
 持ってはいけない感情をキラに持っている。
 自覚している。

 …それを知ったらキラはどうするだろう。

 離れていくだろうか。
 それでも友達でいようとするだろうか。

 ―――どちらにしても。

 絶対に叶わぬ願い。
「親友」以上には なれない。
 それは分かっている。

 でも。
 それでも言い続けるのは。

 どこかに淡い期待が残っているから。
 言い続ければいつか冗談が真実に変わってくれるだろうかと。
 この気持ちに気づいてくれるだろうかと。


「自分勝手だな…」
 自嘲気味に笑って呟く。
 幸いに それを聞く者はいない。


 愛している キラ…



 2人の関係が大きく変わるのはまだ先のこと―――







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アスランの独白。



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