仲直りした?


「カガリ。」
 特に何かを話すでもなく、ベッド脇の椅子に腰掛けていたカガリをキラが呼びに来た。
「キサカさんが呼んでたよ。」
 キラの言葉に、彼女は1度だけ自分を見て。
 何かを言いたそうにしていたが、それは飲み込んでしまったようだ。

「…分かった。じゃあアスラン、また後で来るから。」
 立ち上がった彼女はそれだけ言って "交代だ"とキラの肩を叩く。

 それは 言おうとしたのとはきっと違う言葉。
 直感でそう思った。

 けれど、だからと聞き返すことはできず。
 ああ とだけ返せば、彼女は軽く手を振ってあっさり部屋を出て行った。




「仲直りできた?」
 今までカガリが座っていた椅子にキラが腰掛ける。
 そしてどこか茶化すように笑って言った。
「…仲直り、というか……」

 話はした。
 ユウナ・ロマとの結婚のことも、彼女の口からちゃんと。
 国の為、仕方なく、…心に言い聞かせてきた理由と同じでホッとして。

 でも、仲直り、と言われると…


「カガリは まだ俺を好きでいてくれているんだろうか…」
 ボソリと漏れてしまった不安。
 こういうことを彼女の弟であるキラに言うのもどうかと思うが。
 幼馴染で気心が知れていて、親友としてのキラに聞いて欲しかった。
 …それくらい凹んでいたのだ。

「は? てか指輪見たでしょ?」
 明らかに「何言ってんの」みたいに言われて、でもやっぱり気分は晴れない。
 さっきの会話がぐるぐる回る。
「…だが、メイリンが助けてくれた理由を「好きだからだろ」と あっさり言うんだぞ?」

 あっさりと、なんでもないコトのように。
 他にもっと言うことあるだろう、そう思ってしまった自分が悪いのか。
 離れている間にいろいろありすぎて、自信を失くしている時にそんな風に言われたら。
 そう思っても無理はないと思うのだが。


「あぁ。嫉妬の一つもして欲しかったわけね。」
 納得したように言われてガクリと肩を落とす。
「じゃなくて… あんな別れ方をしたし、もう割り切られたのかと自信が……」
「同じことだよ。」
 アスランの反論もあっさり切り捨てて。
 ぐっと詰まったところで キラはニッコリと笑った。

「…でも、仕方ないんじゃない? それがカガリだし。そういうところも含めて好きなんで
 しょう?」
「…いや、まぁ……」

 かなり恥ずかしいセリフだと思う。
 でも、その通りで。


「とにかく。カガリはちゃんと君が好きだよ。」
 双子だし、僕が保証するよ。


 …信用できるかはともかくとして。(失礼な!byキラ)
 今はそれを信じていたかった。

 いろいろと信じられないことばかりだったから。
 ひとつだけでも信じられるものが欲しくて。

 …ただ、彼女の想いが俺に在るままなら。

 それを糧に、まだ先に進めると思ったから。







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医務室アスランネタ。そんでもってキラ様ですネ。



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