満月夜の秘密 1




 ―――今宵は満月。
 飾り窓から月明かりが入り込み、陰まで作るほどの明るい夜。

 しかし寝台の薄布を下ろしてしまえば光は特に気にはならない。
 虫の声が遠くに聞こえ、時折風が木々を囁かせる音がする。

 そんな静かな夜に、夕鈴は自分の寝台で夢と現実の狭間で微睡んでいた。



「…夕鈴、」
 そんな時、不意に耳に入り込んだ自分の名前。
 最初は夢かと思った。

 一人寝の夜が寂しくて… 会いたいという気持ちが聴かせたものなのかと。


「夕鈴…」
 けれど、再度聞こえた"彼"の声に 今度はぱちりと目が開いた。

「……?」
 同時におかしいことに気が付く。
 それは、いつもと違うところから聞こえたから。

 だっていつもなら耳元とか… 薄布を押し上げて入ってきてくれる。
 髪や頬に触れて、すぐ傍で、優しく囁いてくれるはず。

 ―――でも、今は何故か遠い。
 不思議に思って頭を上げると、こんこんとどこかを叩く音が聞こえた。


「夕鈴、起きてる?」
 もう一度叩く音。今度はもう少し小さく控えめに。
 その音をゆっくり辿ると、視線が行き着いたのは予想外の場所だった。

(窓、から…?)
 寝台に一番近い場所からだ。
 素足のまま降りてそっと押し開けると、思った通りの声の主がそこに立っていた。



「陛下? どうして、外から……」
 呆れ半分に聞いてみると、にこにこ笑顔が返ってくる。
 なんだか上機嫌だ。

「―――君に、見せたいものがあったから。おいで。」
 両の手を出されて一瞬躊躇う。
 …嫌だったわけじゃなくて、単にそこが窓だったからだ。
 ここから出るわけにはいかない。それに今の自分は素足だった。
 ちらりと外に続く扉を見る。

「じゃあ、ちょっと待っててくださ」
「ここからで良いよ。」
 さっきの返事が拒絶ではないと分かった彼は、夕鈴を軽々と抱えあげてそのまま窓から外
 に連れ出す。

「…あの、私、今裸足で……」
「それで良いよ。」
 むしろ満足そうに笑った彼は、ついでに抱っこしたまま彼女を部屋から連れ去った。






















「綺麗な月―――」
 ほぅと 天を見上げて感嘆の息を吐く。
 手を伸ばせば届きそうなくらい、それは近くにあるように見えた。


 中天に差し掛かった大きな月は、星の光が霞むほどに明るく白く輝く。
 全てを洗い流してくれるような清浄な光に思わず魅せられた。


「最初は1人で見てたんだけど、勿体ないなって思って。」
 すぐ傍で見つめる彼は、夕鈴の反応に嬉しそうにしている。
 それに応えて夕鈴も微笑んだ。
「ありがとうございます。」

 一緒に見たいと思ってくれたのが"私"ということ。
 それが、とても嬉しい。

 貴方の、その気持ちが一番嬉しい。




「「――――…」」
 言葉が消えて、互いの瞳を見つめ合う。
 彼の瞳には今私しか映ってないように、私の瞳にも彼しか映っていないのだろう。

 今ここにいるのは2人だけ、2人だけの世界。

 いつの間にか向かい合わせになって、月はもう見えない。
 見えるのは彼の顔だけ。

 白い光に照らされる頬に手を伸ばす。

 綺麗な人、愛しい人。
 今は私だけの、―――私の恋人。


 どちらからともなく唇が重なる。

「……ん、」
 最初は軽く触れて離れていくだけだったそれは次第に深くなっていった。





「夕鈴…」
 濡れた唇で、掠れた声で私を呼ぶ。

 私を見つめる瞳に透けて見える 熱情に揺れる色。
 身体の芯から熱くなる。

 見続けていられなくて逸らすと、耳朶に口づけられた。


「―――夜が明ける前に連れて行くから。」

 熱を注ぎ込まれるように耳元で囁かれて腰が抜けそうになる。
 それに否だなんて言えない。でも、言葉に出すのは恥ずかしい。

「へい、か…」
 だから了承の言葉の代わりに首に縋りついて彼を呼んだ。


 それが、合図。

 耳元で彼が微笑った気配がした。





 ※続きの見方は下部に記載。



2011.11.22. UP



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内緒の恋人で、一度はやってみたかったネタです。

次がエロですー陛下視点ですー 
最初で最後のつもりだったので好き勝手やってます(私が)
お、怒らないでくださいね?


12/4訂正)
<<2&3の閲覧方法>>
JAVASCRIPTが正常に作動しない、携帯から見れないなどの不都合があったので形式変更しました。

えーと、まず注意なんですが。
18歳未満の方(高校卒業年齢に達していない方)は18を超える年齢までお待ちくださいね。
さすがにこれを「生徒」と呼ばれる年齢の方には見せるわけには……(汗)

いいえ、18歳越えてるわ!というお姉様方は―――
下記の簡単な計算問題にお答えいただいた後、アドレスバー(携帯ならダイレクト入力)に直接書くなり
コピペするなりして飛んでください☆

【満月夜の秘密2】
 http://earth.yu-nagi.com/ookami/mitukiyo○○○.html
  ※○○○…陛下の年齢×夕鈴の年齢
【満月夜の秘密3】
 http://earth.yu-nagi.com/ookami/mitukiyo●●●.html
  ※●●●…上記の数字に+李順さんの年齢

ご面倒ですが、サイトを継続するためにもご協力をお願いしますm(_ _)m


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+雑談
もう一回見るとかする時(いるのかは謎)面倒な方は―――…
自分のパソコンに落とすとか画面メモに保存しちゃってください。
個人で楽しむ分には問題ないです。どっかに晒されてしまうと私が恥ずか死にますが。
そんなんされたらサイトたたんで脱兎のごとく逃走しますよ(笑)
ただし、他の方に見られたりした時の責任は負いません(死)
 


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